情報の複製をすべて違法とする法案は,情報の自由な流通を基礎とするネットワークを根本的に否定する。そんな,笑える,法律だ。
デジタル配信をものにできないハリウッドの無能さを表しているのが,コンシューマ・ブロードバンドおよびデジタルテレビジョン・プロモーション法だ。これによってすべてのデジタルデバイスに著作権侵害防止機構が取り入れられることになり,用を足したらデバイス音を流すおまるなども違法なデジタルデバイスになるらしい。
日本では他人事なこの法律だけど,この法案によって米国で発売されるすべてのテレビキャプチャ製品に著作権管理機構が必要となる。キャプチャした動画はキャプチャしたパソコン以外で再生できなくなり,ファイル共有ソフトでやり取りしたり,CDやDVDに焼いて友人に渡したり,もできなくなる。海外から輸入したキャプチャ製品をそのまま使うことになんらかの弊害が生まれる可能性がある。他人事ではすまない。
で,それだけにとどまらない。有名な曲を流す目覚まし時計もその曲がコピーされない防止措置を施さなければいけないし,クリスマスソングを流すクリスマスの装飾品や,デジタルで音を処理するデジタル補聴器,デジタル音の曲を収録している留守番電話機も規制対象となる。その曲のデジタルデータに簡単にアクセスできるような製品は,違法,として処罰される。他人事としては抱腹絶倒だけど,自分の生活がそんなSMチックな製品で囲まれるとしたら,もういいやという気分になるかもしれない(すべての音・映像が出るものが現在の日本のコピープロテクトCDのような感じになる,と考えるとわかりやすい)。音楽も映像ももう要らない,そういう世の中の方が楽しい,と考えて過ごす日々もやってきそうだ。
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